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  パニック障害について      
 


パニック障害は、理由もなく突然、動悸・発汗・震え・息苦しさ・過呼吸・胸の痛み・吐き気・ふらつき感・ほてりや寒気・現実でない感じなどの症状とともに激しい不安が起きる病気です。人によっては「このまま死んでしまうのではないか」、「気が狂ってしまうのではないか」と思うほど強烈な発作で、救急車などで救急外来にかかるケースもあります。しかし心電図などさまざまな検査を受けても身体的にはどこにも異常が認められず、何度も救急外来にかかったり、いろいろな病院を受診したりします。
生涯に1.5%〜2.5%程度の人が罹る病気で、20才代前半〜30才代前半の人が多く、10才代〜60才代まで幅広い年代の人に見られます。

ある時始まって、ある時間続いてやむ不安と、それに伴って以下の症状のうち4つ以上が起こるものをパニック発作といいます。

[1]動悸がする(ドキドキしたり、喉から心臓が飛び出しそうな感じなど)
[2]汗をかく
[3]身体、手足の震え
[4]息切れ、息苦しさ
[5]息が詰まる感じ(空気がうまく吸えない感じなど)
[6]胸痛、胸部不快感
[7]吐き気、腹部不快感
[8]めまい、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
[9]現実でない感じ、自分が自分でない感じ
[10]コントロールを失うことに対するまたは気が狂うことに対する恐怖
[11]死んでしまうのではないかという恐怖
[12]異常感覚(しびれやうずきなど)
[13]冷感、熱感(寒気やほてりなど)

パニック発作は10分以内にピークに達し数十分以内に症状が消えることが多いようです。

パニック障害では、上記のパニック発作が予期しない状況で繰り返し起こります。不安を引き起こす状況とは関係なく、家でくつろいでいる時や睡眠中にもいきなり起こります。その上、またあのような発作が起きるのではないかとゆう予期不安が出現し続きます。もしくは、発作が起こると「コントロールを失うのではないか」、「心臓発作ではないか」、「気が狂ってしまうのではないか」、「死んでしまうのではないか」など、発作の結末についての不安症状が続きます。予期不安の為、行動は防衛的になり行動に変化が起こります。パニック発作が起こることを恐れ、パニックが起きた時そこから逃れられないような、恥じをかくような、あるいは助けが得られないような場所や状況を恐れ、それを回避しようとします。これを広場恐怖と言います。具体的には、以前発作を起こした特定の場所に対するものであったり、新幹線・飛行機・エレベーター・人ごみ・自宅から遠く離れた場所などを恐れることが多いようです。これらを回避するようになると出張に行けなかったり、旅行に行けなかったり、買い物ができなかったり、学校に行けなかったりします。重症化すれば、ほとんど外出できなくなったり、たとえ自室でも一人きりになれないといった状態になります。そうなると、日常生活で著しく不利益をこうむることになります。広場恐怖は、パニック障害の患者さんの半数以上でみられます。また、パニック障害ではパニック発作が続いていると予期不安や広場恐怖により毎日の不安や緊張で疲れて意気消沈しうつ状態となることがありますし、パニック障害の発症前や発症後に強い抑うつ気分を主症状とする本格的なうつ病が合併することがあります。

パニック障害の治療は薬物療法が主体です。パニック発作に対しては、アルプラゾラム・ロラレパム・クロナゼパム・ロフラゼブ酸エチルなどの高力価のベンゾジアゼピン系抗不安薬がまず用いられます。これらの薬は即効性があり予期不安にも効果があります。また、イミプラミン・クロミプラミンなどの三環系抗うつ薬もパニック発作に対して効果がありますが、効果を発揮するまでに時間がかかり、口が渇いたり、便秘をしたりと副作用が出やすいので注意が必要です。最近パニック発作に有効で副作用の少ない抗うつ薬のSSRIも使われるようになってきました。これらの薬を使って薬物療法をするわけですが、中途半端な飲み方をしてパニック発作を繰り返すと結果的には長期間薬を飲まなければならなくなります。とにかくパニック発作を完全に消失させることが大切です。そうすることで、時間とともに予期不安や広場恐怖が消失していくのです。

パニック発作に対する誤った信念や知識に対して時間が経てば治まり生命にかかわらない病気であることを指導し認知させる認知療法や、恐怖を伴っている患者にその恐怖の対象に徐々に暴露させて克服させる行動療法なども症状を軽減する効果が認められています。これらの治療法を薬物療法に併用していくことになります。

パニック障害では、カフェイン飲料(コーヒー・栄養ドリンク等)や筋肉中の乳酸が高まっている状態(激しい運動・空腹時の労作)二酸化炭素(空気の悪い場所)がパニック発作の誘因となるので注意が必要です。


患者さんへ

パニック障害の症状で苦しんで内科や救急外来などいろいろな診療科をまわっても、「身体に異常がない」と言われてしまう方が多いと思います。精神科・心療内科を勧められても「嫌だ」と拒否してだんだんと治療が遅れて、 きちんと治らないまま生活しておられる方もいるでしょう。非常に不幸な経過をたどることにもなりかねないので、内科的な検査で異常がなくパニック障害の可能性がある場合には、精神科や心療内科の専門医に最初の治療をきちんと受けることが大切です。